蟲狩り少女
後部座席から荷物を取り出し、入口へと向かう。


民宿の入り口は普通の家よりも少し広いくらいだった。


「すみません」


お母さんがそう声をかけると、奥からすぐに人が出てきた。


よく日焼けをした大柄な男性だ。


一見怖そうに見えたけれど、その表情はクシュクシュッとシワを作った笑顔であたしはホッと胸をなで下ろした。


「今日予約をしている芽野です」


「あぁ、芽野さん。よくいらっしゃいましたね。さぁ、荷物をお持ちしますよ」


男性の声は見た目よりも高くて、かわいらしい。


あたしとお母さんは荷物を男性にまかせてエントランスに上がった。
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