蟲狩り少女
兄が妹をからかっている。


そう思って割り切ることだってできていた。


「とにかく、海からあがろう里音」


陽は完全に沈んでしまい闇が海を黒く染めている。


水温はどんどん下がってきて、このままでは水難事故にあってしまう可能性だってある。


「さぁ」


そう言って差し出された手を、あたしは振り払った。


「1人で平気だから」


冷たくそう言い、あたしは1人で砂浜へと歩いたのだった。
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