蟲狩り少女
お母さんもその事に気が付いているようで、時々心配そうにあたしの顔を覗き込んできた。


「ごめんお母さん、今日もなんだか食欲がなくて……」


そう言い、茶碗に半分くらいご飯を残す。


すごくおいしいのに、体が受け付けてくれない感じだ。


「無理してたべなくて大丈夫よ。今度から少なめに入れるから」


「うん……本当にごめんね」


申し訳ない気分になりながら、あたしは自分の食器を持って台所へ立った。


せめて洗い物だけでもしてあげないと。


そう思ったのだ。


「あら、里音ちょっと身長が伸びたんじゃない?」


早くもすべて食べ終えたお母さんが隣に立って、そう言った。
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