蟲狩り少女
イライラしたってあたしたちの関係は変わらないし、どうしようもない。


それを理解しながらも、イライラせずにはいられないでいた。


あたしは光磨の机の前で立ち止まり、カバンから蟲スプレーを取り出した。


光磨が神社で拾ったと嘘をついて返してきたものだ。


これはあたしのものじゃない。


元々光磨のものだったんだ。


カンッとわざと大きな音を立てて光磨の机に蟲スプレーを置く。


その音で光磨が顔をあげた。


相変わらず眠そうな顔をしている。


「これ、返す」


ツンッとした態度であたしは言う。
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