蟲狩り少女
「容子。おい、どうしたんだよ」


牧悟が朝口容子の肩に手を起き、その手に蟲が這って行く。


まずい……。


牧悟の心に隙間があれば、あのまま一緒に蟲の餌食になってしまうかもしれない。


もう一刻の猶予もなかった。


あたしは決心して席から立ち上がった。


周囲に気づかれないようにカバンの中から蟲スプレーを取り出し、スカートのポケットに忍ばせる。


そして朝口容子へと近づいた時……教室のドアが開いた。


ガラッといつもの音を立てて開いたドアに視線が集まる。
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