蟲狩り少女
「光磨……!」


あたしは目を見開き、教室へ入って来た光磨を見た。


「よぉ」


光磨は口にマスクをしているが、いつも通りの調子で片手をあげて軽く挨拶をして見せた。


みんなに挨拶をしながら自分の席にカバンを置く。


そしてすぐにあたしの隣へやってきた。


「蟲か」


小声でささやいてくる。


「うん」


「随分と成長した蟲だな。家にいても嫌な予感がして、いても立っていられなくて来たんだ」


「……ごめん。あたしが蟲を見逃していたの」


うつむきそう言うと、光磨があたしの頭にポンッと手を乗せてきた。
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