蟲狩り少女
それでも、あたしはあたしとして生きて行くしかない。


あたしがあたしを捨てるのは、それは自ら命を絶つ時だけだから。


気が付けばあたしは自分の家の前まで戻ってきていた。


随分遠回りをしてきたから、呼吸をするたびに肺が痛む。


玄関前で立ち止まり、肩で呼吸を繰り返す。


駐車場にはお母さんの車が止まっているのが見えた。


そういえば、今日は休みだと言っていたっけ。


まだ陽が高い時間。


このまま家に入って行くのは気が引ける。


でも、また学校へ戻る気にはなれなかった。


きっと今日は授業なんて耳に入ってこないだろう。
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