蟲狩り少女
あたしはスッと息を吸い込んで、玄関を開けた。


ガチャッと扉が開く音がして、すぐにお母さんが奥の部屋から顔を出した。


「あら、里音どうしたの?」


今日は普通授業だと伝えてあったので、お母さんは目を丸くしてあたしを見る。


学校をさぼってしまった罪悪感が、今さらのように胸を突く。


「ただいま」


あたしは何事もなかったようにそう言い、靴をぬいで家に上がった。


「体調でも悪いの?」


心配そうにそう聞いてきて、あたしの額に手を当てて熱がないかどうか確かめるお母さん。


「熱はなさそうね?」


「うん。体は平気だから」


あたしはそう言い、うつむいた。
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