蟲狩り少女
視界の中にあたしの足とお母さんの足。


そして変わらぬ廊下が写る。


あたしはそれらをジッと見つめたまま、口を開いた。


「お母さん、あたしね……」


「どうしたの?」


「……あたしね、クラスメイトに同じ蟲狩り師を見つけちゃったんだ」


勢いをつけてあたしは言った。


お母さんからの返事が怖くて、キュッと目を閉じる。


「……そう……なの……」


お母さんは考えるような声色でそう言った。


お母さんならすぐに理解できるハズだ。


蟲狩り師は世界に1人しかいない。


だけど本当は2人いた。


その、意味を。
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