蟲狩り少女
しばらく黙っていたお母さんがあたしの体を両手で包み込んできた。


ハッとして目を開ける。


お母さんはあたしを抱きしめ、背中をゆっくりと撫でてくれる。


あまりに近すぎてその表情は見えない。


「お母さん、大丈夫?」


「えぇ。大丈夫よ」


その声はかなりしっかりした声で、あたしは余計に不安がよぎる。


けれど次に言われた言葉は予想外の言葉だった。


「お母さんね、予感はあったのよ」


「え……?」


それって……どういうこと?
< 208 / 289 >

この作品をシェア

pagetop