蟲狩り少女
☆☆☆

やっぱり、あたしはまだ光磨の事が好きなんだ。


このままじゃいけない。


気持ちに整理をつける必要がある。


放課後になり、あたしは鞄に教科書を入れていた。


「里音ちゃん、今日一緒に帰らない?」


リカちゃんがタタッと走ってきて声をかけてくれる。


「うん、いいよ」


特に断る理由もなくあたしはうなづく。


2人で廊下を歩いて昇降口へ向かいながら、他愛のない話をする。


昨日見たテレビの話とか、数学の問題が難しいとか。


リカちゃんと並んで話ながらも、あたしの心の中には光磨がいる。


会話が途切れた瞬間や、学生服とすれ違う瞬間。


あたしの行動の端々に光磨の残像が浮かび上がってくる。
< 221 / 289 >

この作品をシェア

pagetop