蟲狩り少女
いくら雪の結晶の形をしていると言っても、それらが奇妙にうごめいている姿は不気味以外の何とも形容できなかった。


「どうしよう……中にお母さんがいる……!」


「落ち着け里音。スプレーは持っているんだろ?」


そう言われて、ハッとする。


そうだ。


あたしは蟲狩りのための道具を持っているんだ。


あまりの出来事にパニックになり、それさえ忘れていた。


あたしはすぐにスカートのポケットに手を突っ込み、スプレーを取り出した。


隣を見ると光磨もすでにスプレーを構えている。


一度目を見交わせて、頷きあう。


「行くぞ」


「うん」
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