蟲狩り少女
合図と同時にスプレーを噴射させる。


新しく開けたばかりのスプレーはプシューッと音を立てながら、勢いよく発射される。


雪蟲たちはもがきながら地面に落ちて、そして溶けて消えていく。


溶けた後には何も残らず、シミにもならずただ灰色のコンクリートが広がっている。


あたしはボトボトと家から落ちていく蟲を見つめていた。


雪蟲は他の季節の蟲と違い非常に弱い生き物だった。


そもそも冬に蟲が出る事自体が珍しいのだ。


それなのに……。


あたしは視線を家へと移す。


まだまだ大量の蟲たちが家を覆い尽くしている。


いくら弱い蟲だと言っても、これだけ集まっていれば狩るのは大変だ。
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