蟲狩り少女
「はぁ? 俺がやったワケねぇだろ!」


三岳友輝が発言した生徒たちを睨み付ける。


しかし、クラス内の誰もが口を開かなかった。


三岳友輝が怪我をさせた犯人だとしても、違和感がないからだ。


少なからずみんな三岳友輝に威圧感を感じていて、逃げるように視線をそらせた。


「おい……俺じゃねぇってば!」


三岳友輝もこの雰囲気に焦り始めている。


このままでは本当に自分が犯人だと思われてしまう。


三岳友輝は必死だった。


優等生とは思えない、自分を擁護する発言を繰り返す。


しかし、それは逆効果だった。


誰も聞いていないのに自分の無実を大きな声で証言すればするほど、三岳友輝は怪しく見えてくる。
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