蟲狩り少女
どちらにしても放っておくわけにはいかない。


あたしは自分のカバンを掴んで2人を追うようにして廊下へ出た。


廊下へ出ると2人が階段を上がって行く後ろ姿が目み入る。


その瞬間、あたしはハッと息を飲んだ。


ついさっきまで背赤にしかいなかった蟲たちが、今は三岳友輝の後ろ姿すべてを覆い尽くしているのだ。


足先から頭のてっぺんまでウジャウジャと羽音を響かせている。


これは三岳友輝が何かを決意し、脇マサヤを呼んだからかもしれない。


蟲が増えると言う事は、悪い決意をしているという証拠だ。


しばらくの間あたしは呆然とそこに立つ尽くしていたけれど、ハッと我に返り、走り出したのだった。
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