無口なキミと同居します。
「…ねぇ、例えばだけど」
滅多に自分から話を切り出さない遠野が、自分から口を開く。
ん?って答えると彼は私の方をゆっくり見た。
「…俺と柏野先輩だったら、どっちの方が服選ぶの苦戦する?」
「…え?」
少しだけ首をかしげた彼の顔はいつもと変わらず無表情。
けど…遠野は何をどうしてそんな事を言い出したんだろう。
どっちが苦戦するか?
…それはどっちの方が悩むかって事で。
想像もつかなかった質問に、回らない頭を必死に回転させる。
きっと私は…、
「遠野…かな?」
だって遠野の出かける時に、可愛くない格好して行ったら冷たい顔されそうじゃないか。
柏野先輩はあまりそんなこと気にしなさそうだし…。
…本当、それだけの理由だった。