光の少女Ⅰ【覚醒編】
「花音ちゃん、おはよう!」
「風華ちゃん!?」
後ろから抱き付いてきたのは風華で、何か嬉しそうに満面の笑みを浮かべている。
「おはようございます、風華様」
「聖もおはよう」
クスリと笑いながら挨拶した聖に、花音に抱きついたまま風華が返す。
「風華様はすっかり花音様のことが気にいったみたいですね」
「うん!ね、花音ちゃん、一緒にご飯食べよっ」
そう言って、今度は前に回り、手を引っ張る。
「食堂への案内は、任せてよさそうですね。・・・では私は一度失礼します」
「聖、また後でねー」
頭を下げ、離れていく聖に風華が手を振る。
彼女の姿が見えなくなったところで、風華は花音の手を引っ張ったまま歩き出した。
風華と共に花音が食堂へ入ると、そこには既に空夜の姿があった。
彼も二人に気付いたらしく席を立ち、近付いてくる。
花音は昨日の冷たい態度を思いだし、逃げ出したくなったが、大丈夫だというように風華に笑みを向けられ、空夜を見る。
彼は少し気まずそうに口を開いた。
「昨日はすまなかった。君も混乱していたのに、あんな態度をとって、本当にすまない」
反省したような態度で話し掛けられ、戸惑いながらも気にしてないと伝えるように首を振ると、彼は僅かに笑みを浮かべる。
だが、再び開かれた扉から風夜が入ってくるのが見えたと同時に、笑みは消えた。
花音達に気付いた風夜が近付いてくるのと入れ替わるかのように空夜は離れていく。
「花音、昨日はよく眠れたか?」
「う、うん」
「そうか、よかった」
風夜の方も避けるように離れていった空夜に気付いていたはずなのに、気にしてないといった雰囲気で話し掛けてきた。
空夜の方を見れば、風夜の姿を見たくないとばかりに視線を逸らしている。
そこから風華へと視線を移すと、彼女は少し複雑そうな表情をしていたが、花音の視線に気付くと明るく声を上げた。