光の少女Ⅰ【覚醒編】

「・・・音、花音!」

「・・・?何・・・?」


軽い食事のあと、夜天に言われるまま横になっていた花音は
身体を揺すられ目を開ける。

まだ夜中だと思われる暗さだったが、いつの間にか火は消されていて、目の前の夜天の緊迫した表情から何かあったのはわかった。


「どうしたの?」

「・・・盗賊だ。やっぱりこの森に潜んでいたらしい。ここまで接近されるまで気付かなかった」


夜天がそう言って、少し離れた位置を見る。

まだ姿は見えなかったが、すぐ近くから幾つかの気配を花音も感じる。

段々と足音もはっきりと聞こえてきて、花音達の前方の木々が揺れる。

現れた盗賊達は嫌悪感を感じる笑みを浮かべていて、それは何故か夜天の姿を目にした時深められたのがわかった。


「これはこれは、皇子様が何故このような森に?」

「・・・お前達には関係ないことだ」


嫌な笑みを浮かべる盗賊達に夜天は冷たく返す。

すると盗賊のリーダーらしい男が花音に気付き、ニヤニヤと笑って口を開いた。


「見たことない顔だな。お嬢ちゃん、その皇子様がどんな方か知っているのかい?」

「えっ!?」


盗賊のリーダーの言葉に首を傾げる。


「お頭、知らないようですよ」

「なら、教えてやろうか。そいつがどんな危険な奴か」


その言葉に横にいる夜天の表情が強ばるのがわかった。


「夜天くん?」


少し青ざめているようにも見えて声をかけたが、夜天は何も言わない。

盗賊達はそれをニヤニヤと見ながら口を開いた。
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