光の少女Ⅰ【覚醒編】
「なっ!?」
「うぐっ!」
「駄目!夜天くん!」
動きを封じ込めた盗賊達に剣を抜いた夜天の後ろから抱き付くようにして引き止める。
「離せ!」
「駄目、駄目だよ!夜天くん!」
今まで見たことのない冷たい目をした夜天に言われたが、離すわけにはいかなかった。
そのまま盗賊達の方に手を伸ばし、盗賊達の動きを封じている闇の力を消し飛ばし叫ぶ。
「早く何処かに行って!死にたくないでしょ!もう夜天くんに関わらないで!」
必死にそう叫ぶと盗賊達は慌てて逃げ去っていった。
「くそっ、離せ!」
「駄目だって!きゃあぁ!?」
夜天が花音を振り払おうと腕を振り、バランスを崩した花音は地面に倒れこむ。
「痛っ!」
「・・・あっ・・・・・・」
倒れ方が悪かったのか、右足首に痛みが走る。
花音が思わず声を上げると、夜天が小さく声を上げたのが聞こえてきた。
彼の方を見ると、先程までの冷たい目ではなくなっていたが今度は何かに怯えているようにも見える光を失った虚ろな目をしていた。
「夜天くん?」
「お、俺、また・・・」
「夜天くん!」
足の痛みを堪えて立ち上がり、少し強めに声を掛ける。
そのことで夜天の目に光は戻ったが、視線を逸らされ目が合うことはなかった。