光の少女Ⅰ【覚醒編】
「・・・で、どうするんだ?」
飛竜で雷の国を離れながら、夜天が問い掛ける。
「闇の国に行っても、すぐに追い付かれるだろうしな」
「・・・・・・だったら、此処から西だ」
それまで黙っていた光輝が口を開く。
「西?」
「・・・遥か昔、光の一族がまだ国だった頃から俺が闇の国に隠れ住むまで、一族が生活していた場所がある。・・・そこに姉上達が向こうの世界へ行く時に使ったゲートがあるんだ」
その言葉に彼はそのゲートを使うつもりなのだと気付いた。
「つまり、お前はそのゲートを使って、花音の世界へ行くっていうのか」
「・・・ああ。時空を越えてしまえば、そう簡単には陰の一族も手が出せないはずだ」
「・・・確かに、身を隠すには今はそこに行くのが最善か」
雷牙が少し考えるようにして、そう呟いた。