光の少女Ⅰ【覚醒編】
「何だったの、今の・・・」
風華の後ろで花音は座り込む。頭の中は、この世界に来た時以上に混乱していた。
(何?今の黒いの。それに風夜と風華ちゃんは、何をしたの?)
「大丈夫か?」
剣を納めて近付いてきた風夜が、手を差し伸べてくる。その手を花音は、反射的に払っていた。
「あ・・・」
驚いたように目を見開く風夜に、はっと我に返る。
「・・・ご、ごめん」
「・・・いや、ほら立てるか?」
謝った花音に苦笑し、風夜が再び手を差し出してくる。
花音は今度こそ彼の手を借りて、立ち上がった。
「花音ちゃんは知らなかったから、驚いちゃったんだよね」
風華が言いながら、花音から距離をとる。
そのことにほっとした自分に気付いて、思わず愕然とする。
「今日はもう帰ろう」
「ここからなら、歩いても帰れるから、たまには歩いて帰ろう」
そう言った風華が、風夜と手を繋ぎ、歩きだす。
花音はそんな二人の後を黙ってついていくしかなかった。
どうやら自分は、さっきの黒い得体のしれないものだけでなく、目の前にいる二人にも恐怖心を抱いているようだった。