光の少女Ⅰ【覚醒編】
「おはよう。朝、早いんだね」

「なんか、目が覚めちゃって」

「そっか。隣、いいかい?」


花音に断りをいれて、大樹が横に座る。

そのまま、無言の時間が流れる。

先に口を開いたのは、大樹だった。


「昨日のこと、空夜さんから聞いたよ。皆、心配してた」

「・・・・・・」

「君を火焔が気絶させたあと、皆で話したんだ」

「・・・何を?」

「君のこと。君の両親は何としても今のうちに君を連れて帰りたかったみたいだけど、俺達は君の判断に任せることにした」

「えっ?」

「能力の有無関係なく、君が帰りたければ帰っていいし、残りたければ残っていいってことだよ」


そう穏やかに話し続ける大樹に、花音は俯いた。

「私は・・・」

「結論は急がなくていいよ。君の両親も、何日か滞在するみたいだから」


大樹はそう言うと、視線をチラリと背後にやって、笑みを浮かべる。


「それに、君が元気ないとどうしても気になる奴がいるみたいだからね」

「えっ?」


大樹に言われ、花音が視線を追うと、いつからいたのか壁に寄りかかり、此方を見ていた風夜と目があった。

話が終わったと思ったのか、壁から身を離し、近付いてくる。


「そうだ。夜天が君に話しておきたいことがあるって言ってたんだ。もし結論が出ないなら、聞いてみてもいいかもしれないよ」


風夜が近付いてくるのを見て、大樹は花音に言うと、立ち上がる。

そして、風夜と入れ替わるように立ち去っていった。

「大樹の奴、最後になんて言ったんだ?」


大樹が行ってしまったのを見て、風夜が聞いてくる。


「えっ!?ああ、なんか夜天君が私に話があるみたいだって」

「ふぅん」

「それより、風夜はどうしたの?出掛けるわけでもないのに、中庭に来て」

「別に。た、偶々来たらお前と大樹がいたんだよ」

「・・・心配してくれたんじゃないんだ」


花音が言うと、風夜は視線を外した。

だが、その頬は僅かに紅くなっている。


「ふふっ」

「だ、大体あんな取り乱し方を見たら、気になるだろ?だから」

「・・・ありがとう」


花音はそう言って、笑みを浮かべる。

少しだけ元気が出たような気がした。
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