光の少女Ⅰ【覚醒編】
「私達の娘を頼む」

「わかった。彼女の身の安全は保障しよう。それでいいか?」

「ああ」


父はそう返し、王に頭を下げる。

それを見て、王が謁見の間の外で待機していたのであろう兵士を呼びつける。


「風夜を呼んでこい。この者達を送らせる」

「はっ!」


兵士が風夜を呼びに退室していく。

王は、花音達親子に視線を戻して、口を開いた。


「花音。この世界に残る以上、親には会えなくなる。風夜が来るまでそんなに時間は掛からないだろうが、話したいことがあれば話しておきなさい」


王の言葉を聞き、花音は頭を下げると両親と共に謁見の間を出た。

謁見の間を出てから、花音達は無言だった。

何か話そうと思っても、言葉が出てこない。

それに花音は、両親の顔を見ることが出来なかった。

見れば、折角の決意が揺らいでしまうかもしれない。そう思った。

ただ無言のまま、時間が過ぎていく。

それを破ったのは、地を踏む音。


「花音」


そして、三匹の飛竜を連れた風夜の声だった。
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