光の少女Ⅰ【覚醒編】
2

祭り当日。

花音は、風華、水蓮と共に城下町に来ていた。

火の国からも人が大勢来ているらしく、いつもより賑やかになっている道を歩いていると、前から雷牙が走ってくるのが見えた。


「花音!水蓮!風華!」


花音達に気付いて近付いてくる。


「何してんのよ?」

「夜天・・・、見なかったか?」


息を整えながら聞いてくる雷牙に首を振る。


「見てないよ。夜天くんがどうかしたの?」

「どうせ、何処かでさぼってるんでしょ?駄目じゃない。保護者が目を離したら」

「俺はあいつの保護者じゃない!とにかく、探して連れていかないと大樹が恐いんだよ。見付けたら、戻ってくるよう伝えてくれないか?」

「いいよ」

「サンキュ。じゃあな」


再び走り出した雷牙に水蓮が溜め息をついた。

「懲りないわね。夜天も」

「えっ!?夜天くん、毎年いなくなるの?」

「そう。毎年、何処かに隠れて雷牙が探しにいくのよ」


呆れたように言う水蓮に花音は苦笑した。

その時、ふと視界に黒いものが見える。


「!!」

「花音ちゃん?どうしたの?」


一ヶ所を見つめ動きを止めていた花音は、風華の声に我に返った。


(気のせい、だよね?)


そう思い、水蓮と風華の後を歩き出す。

折角の祭りなのだから、楽しもうと思った。

だが、同時に嫌な予感がしていた。
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