光の少女Ⅰ【覚醒編】
吹っ飛ばされた水蓮に目をくれず、陰が花音に迫ってくる。


「花音ちゃん、早く!」


動こうとしない花音を風華が必死に引っ張ってきた。

近付いてきた陰が花音に伸びる。

その時、人々を掻き分けて風夜達が走ってくるのが見えた。


「何で街中にこいつがいるんだよ!?」

「知るか!とにかく、話は後だ。今はこいつをどうにかするのが先だろ!」


顔をしかめた火焔にそう返しながら、風夜が花音に迫ってきていた陰を剣で斬り落とした。


「水蓮は?」

「ここよ」


一緒にいたはずの水蓮がいないのに気付いた雷牙が聞いてきた時、背後から水蓮の声がする。

振り返った花音は吹っ飛ばされたはずの水蓮がいたのに驚いたが、無事な姿を見て安堵した。

襲いかかってくる陰に体力があるのか、花音にはわからない。

だが、風夜達には限界がある。

今でこそ避けたり、切り落としたりしているが、長引けばこちらが不利だ。

目の前の攻防を見ていた風華が不安そうに見上げてくる。

段々と限界が来たのか、風夜達の動きが鈍くなる。

それに気付いたらしい人々が騒がしくなったと同時に、風夜達がとうとう膝をつくのが見え、彼等に陰が襲いかかる。


「花音ちゃん!」


それを見て、花音は風華が止めたのも構わず、風夜達の前に飛び出していた。
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