光の少女Ⅰ【覚醒編】
「何やってんだ!?下がってろ!」

「嫌!」


後に下げようとしてきた風夜の手を払い、花音は陰を見据える。

恐くない訳ではない。

気を抜けば、身体が震えそうになる。

だが、これ以上何もしないで見ていることなんて出来なかった。

誰かが傷付くのは見たくない。

陰が花音を捕らえようとした時、身体の中で何かが弾けたように感じた。


身体の中で何かが弾ける。

それと同時に力が溢れてくる。

抑えきれない程の力に気を失いそうだったが、懸命に耐える。

まだ気を失ってはいけない。

この力が今まで目覚めることのなかった自分の力なのだろう。

だが、どうすればこの力を制御して使えるのかわからない。

その時、ペンダントが光りだし、聞いたことがあるような、覚えているよりも低くなった少年の声が頭の中で聞こえた。

『落ち着いて、姉上』

(この声!?)

『俺が此処から姉上の力の制御に力を貸すから、落ち着いて俺の声に耳を傾けて』

(うん)


色々聞きたいこと、話したいことはある。

でも、今はそんなことをしている状況ではなかった。

気持ちを落ち着かせ、集中する。

先程よりは幾らか身体が楽になった気がした。


『まずは、手に力を集めるんだ。掌に力を集めるようイメージして』

(・・・わかった)


言われたとおり、花音がイメージすると、そこに力が集まっているのか掌が暖かくなった。


『出来たら、今度はそいつに向けて力を具現化する。そして、どう動かしたいか念じるんだ。具現化はさっきより集中すれば出来る』

(やってみるよ)


掌に集まっていた力が光球になる。

更に集中すると、小さかったそれが大きくなった。
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