光の少女Ⅰ【覚醒編】

「・・・ん?」


花音が気がつくと、そこは城の中にある自室だった。

外は暗くなっていて、部屋の中も薄暗い。

電気を付けようと身を起こして、花音は動きを止めた。

自分が今まで眠っていたベッドに頭を乗せて、身動きしない風夜の姿がある。

肩が規則的に上下に動いているのからして眠っているのだろうか。

起こすのは戸惑われたが、このままでは風邪をひいてしまうと手を伸ばしかけた時、部屋の電気が付いて風華の声が聞こえてきた。


「あっ!花音ちゃん、気がついたんだね!よかった」


嬉しそうに駆け寄ってきた風華に花音は笑みを浮かべた。

近くまで来た風華が眠っている風夜に気付いて、呆れたような表情になる。


「もう、部屋にいないと思ったら、風兄様此処で寝てたんだ。・・・花音ちゃんを運んで、力尽きたのかな?」


その言葉に花音はハッとする。

能力を使った後、気を失った為にあれからどうなったのかわからなかった。

「風華ちゃん、あれからどうなったの?皆は?」

「花音ちゃんが倒れたあとね、風兄様が花音ちゃんを此処に運んで、火焔様達は部屋に戻って休んでるよ。御祭りは中止になって、他にも陰がいないか空兄様が兵士達に調べさせてる」


花音はそれを聞いて、窓から外を見下ろす。

城の入り口を兵士達が慌ただしく行き交うのが見えた。


「なんか、大変なことになっちゃったね」

「うん。今まで街の中に現れるなんてことなかったから、皆混乱してるみたい。お父様の所に街の人々が押し掛けてきてるしね」


風華はそう呟くように言った。

暗い表情だったが、花音と目が合って風華が無理矢理笑みを浮かべたように見えた。


「お父様一人だと大変だと思うから、私も手伝ってくるね」


風華がそう言って、部屋を出ていく。

それを見て、花音は眠っている風夜にタオルケットを掛けると、彼を起こさないように部屋を出た。
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