光の少女Ⅰ【覚醒編】
廊下に出ると、兵士達は街の方へ出ているのかいつもより人気がなかった。

そのまま、テラスの方へ行き、外の空気を吸い込む。

昼間の出来事が嘘のように静かで、考えごとをするには最適だった。

自分の掌を見ながら、数時間前のことを思い出す。

襲ってきた陰を一瞬で消し飛ばした後、聞こえてきた光輝の声は光の一族の力は浄化の力だと言った。

それなら、自分の力は目覚めたことになる。

力が目覚めたということは、もう後戻りは出来ない。

もう両親のいる元の世界には簡単には戻れない。いや、二度と戻れないのかもしれない。

そう思うと、涙が零れた。

元の世界に残してきた人々を想って泣くのは最後にしようと決めた。

星と月が夜空を照らす中で、花音は元の世界と決別した。
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