光の少女Ⅰ【覚醒編】
2

「聖、ちゃん?」

「さっき中庭にいましたよね?私達の会話、聞きました?」


近付いてくる聖に花音は後退りする。

聖の浮かべている冷たい笑みに恐怖を覚えずにはいられなかった。


「あの、さっきの人は?誰かいたよね?」

「あの方は、私が本来仕えている方よ」


聖は、そう言って手を振る。

そこにはいつの間にか一本の細身の剣が現れていた。

恐怖のせいか、逃げたくても足が動かない。

助けを呼びたくても、声も出なかった。

「花音様。貴女に恨みはないけど、能力が目覚めた以上私達にとって邪魔なんです。だから、消えてもらいますよ」

「きゃあっ!?」


聖が斬りかかってきたのを、とっさに飛び退いてかわす。

それでも完全には避けられず、足首を浅くだが斬られ座り込む。


「貴女も運が悪いですね。能力さえ、目覚めなければもっと長生きできたかもしれないのに。いえ、両親と元の世界に帰っていれば、こんな目にあわなかったんですよ」


聖がそう言い、笑みを浮かべて近付いてくる。

再び剣が振り上げられ、花音は恐怖のあまり目を閉じる。


「・・・さよなら」


言葉と共に剣が風を斬る音がした。
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