光の少女Ⅰ【覚醒編】
少しして不意に掴まれていた肩から火焔の手が離れる。

それを合図に顔を上げると、座り込んでいる聖に風夜が剣を突き付けていた。

傷を負っている聖に、花音は複雑な気持ちだった。


「風夜」


近付いて花音が声を掛けると、風夜が溜め息をついて剣を納める。

それを確認して、花音が聖に声を掛けようとした時、聖が俯かせていた顔を上げた。


「ふふ・・・、あははは」

「聖ちゃん?」

「・・・何がおかしい?」


急に笑いだした聖に、風夜が低い声で問い掛ける。


「本当にあまいのね。私を此処で逃がすこと、後で後悔しても知らないから」

「えっ?」


ニヤリと笑った聖に風夜が再び剣を抜こうとする。

だが、それより先に聖の姿が目の前から消える。


「何っ!?」

「・・・あっ・・・」


突然のことに風夜と火焔は目を見開いたが、花音は何かを感じて振り返った。

小さく声を上げる。

そこには傷付いた聖を抱き上げた男が立っていた。
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