光の少女Ⅰ【覚醒編】


バタンッ


「っ・・・」


部屋に戻ってきて扉を閉めたところで、花音は床に座り込んだ。


今まで堪えていた涙が零れてくる。


聖の冷たい視線と声が忘れられない。


聖のことを信じたいという気持ちと、信じられない気持ちがあって自分でもどうしたらいいのかわからなかった。

トントンッ


「!!はい!」


どのくらい泣いていたのか、扉を叩く音に我に返り、慌てて扉から離れる。


「・・・入るぞ」


入ってきた風夜が花音を見て、顔をしかめる。

それに花音は慌てて涙の後を拭き取ると、無理矢理笑みを浮かべた。


「あはは、私、最近泣いてばかりだね」


「花音・・・」

「それでどうしたの?何か話があるんでしょ?」


何か言いたげにしていた風夜は、花音を見て溜め息をつくと口を開いた。
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