光の少女Ⅰ【覚醒編】

第2章 旅立ち

1
風の国の中心部を脱出してから数日。

途中で飛竜を降り、徒歩で移動していた花音と風夜は国境の森へ来ていた。

国境には大きな壁があり、通り抜けられる場所には兵士がいる。

花音はピリピリとした雰囲気に戸惑ったが、風夜は気にすることなく歩いていく。

その風夜の姿を見て、兵士達が驚いているのがわかった。


「ふ、風夜様!?」


声を上げた兵士達に風夜が笑みを見せる。


「・・・火焔達に報告したいことがある。通してもらえるか」

「は、はい。どうぞ、お通りください。おい、城に連絡を・・・」

「それはいい。森を出たら、飛竜を使うからな。連絡が行く頃には俺達も着く」


風夜はそう言って、兵士達の間を抜け、門を潜る。

それを見て、花音は兵士達に頭を下げると彼の後に続いた。

二人が城に来ると、城の一室に通される。

王は忙しく時間が取れないということで、火焔とだけ会うことになり、今は執務中の彼を待っていた。

数十分後、執務が一段落した火焔が部屋に入ってくる。


「二人共、無事だったのか!他の人達は!?」

「脱出したのは、俺と花音だけだ」

「・・・そうか」


二人の姿を見て顔を綻ばしかけ、風夜の言葉に火焔は顔を曇らせた。


「ところで、火焔、頼みがある。通行証を発行してもらえないか」

「・・・わかった。明日以降になるけど、いいか?」

「ああ」


風夜が頷く。


「それと、何が起きたか聞いていいか。そしたら、部屋を用意するから、二人共休んだ方がいい」

「ああ」


火焔に言われ、風夜は簡単に話し始めた。
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