光の少女Ⅰ【覚醒編】

第3章 姉弟

1

闇の国に来た次の日、花音達は夜天の案内で光の一族が住む街へと来ていた。


(何かさっきからものすごく視線を感じるなぁ)


街の中に入った途端、自分達に向けられた視線に花音は戸惑いながら辺りを見回す。

向けられた視線はどれも好意的なものではなく、怒りや敵意、殺気を感じるものばかりだった。

その時、不意に風夜が花音の目の前に手を伸ばす。


パシィ


「えっ?」


それと同時に音が響き、飛んできた何かを風夜が受け止め地に落とす。

それが何か見ようと視線を動かすと、そこには大きめな石があった。


「お前ら!」


それを見て、夜天が声を荒げる。

だが街の人々は石を投げたのを境に、殺気を露にして花音達の周りを囲んでいた。

「どうやら俺と風夜が一緒に来たのか不味かったみたいだな」


その様子を見て、火焔が花音達にだけ聞こえるくらいの声で呟いた。


「いや、多分俺が約束を破ったからだ」

「約束?」

「俺がこの街を知った時に光輝や街の人々と約束したんだよ。この街のことを他の国の奴等には黙ってるってな」

「それで今回俺達にばれてしまったから、約束を違えたってことか」

「ああ」

「何をこそこそ話しているんだ?さあ、危害を加えられたくなければ、さっさと街を出ていけ」


街の人々の中から一人の男が出てきて言う。


「今すぐ出ていかないなら、この国の皇子だろうが他国の皇子だろうが関係ない。強制的に出ていってもらう」


男の言葉に街の人々の周りに力が集まるのがわかった。
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