光の少女Ⅰ【覚醒編】
「あの私、まだこの世界のことよく知らないんです。幾つか教えてもらってもいいですか?」
「勿論、いいですよ」
「じゃあ、まずはこの世界の一族、特に陰の一族について」
「わかりました」
そう答えると、老夫婦は目を閉じ、思い出すように話し始めた。
「数百年前、この世界には今ある七つの一族と陰の一族、その他に氷、草、音、時、星読の一族がありました。それらの一族は互いに協力しながら、平和に暮らしていました。ところが、ある日、急に陰の一族が他の国を襲い始めたのです」
「当時、陰の国には恐ろしいほど強大な力を持った女がいて、その女がこの世界を支配しようと企んだそうです。それを知った我々の祖先は、数日の戦いの末、戦いで力を使い果たした女を一族ごと追放したそうです」
「それからは特に何もなかったのですが、十数年前、突然星読の一族が姿を消しました。彼等は未来を知ることが出来ましたから、陰の一族が再び現れることを逸早く知り、姿を消したのでしょう。勿論、我が一族、そして他の一族は陰の一族と戦いました」
そこまで話し、老夫婦は表情を暗くした。
「ところが、陰の一族のしつこい襲撃に氷、草、音、時の一族は姿を消し、残った一族も我々に陰の一族の相手を押し付けるようになったのです。その結果、我が一族の被害は増えて逃げ出す者も出始める始末。貴女のご両親も長でありながら、一族を捨て、力が目覚めていなかった貴女だけを連れ別世界へ行ってしまったのです」
「この世界に残された光輝様は、両親と他の一族を恨み、どの国にも属さないこの街を僅か十になるかならないかの年でつくりあげました。街の皆もそんな光輝様を慕っております」
「・・・ところで風の国のことはご存知ですか」
「ええ。光輝様から聞いています。花音様の身を案じておられましたから」
「それで聞きたいんですけど、何か方法はありませんか?その国に残してきた人達を助けたいんです」
花音が訴えるように聞くと、老夫婦は困ったように顔を見合わせた。
「勿論、いいですよ」
「じゃあ、まずはこの世界の一族、特に陰の一族について」
「わかりました」
そう答えると、老夫婦は目を閉じ、思い出すように話し始めた。
「数百年前、この世界には今ある七つの一族と陰の一族、その他に氷、草、音、時、星読の一族がありました。それらの一族は互いに協力しながら、平和に暮らしていました。ところが、ある日、急に陰の一族が他の国を襲い始めたのです」
「当時、陰の国には恐ろしいほど強大な力を持った女がいて、その女がこの世界を支配しようと企んだそうです。それを知った我々の祖先は、数日の戦いの末、戦いで力を使い果たした女を一族ごと追放したそうです」
「それからは特に何もなかったのですが、十数年前、突然星読の一族が姿を消しました。彼等は未来を知ることが出来ましたから、陰の一族が再び現れることを逸早く知り、姿を消したのでしょう。勿論、我が一族、そして他の一族は陰の一族と戦いました」
そこまで話し、老夫婦は表情を暗くした。
「ところが、陰の一族のしつこい襲撃に氷、草、音、時の一族は姿を消し、残った一族も我々に陰の一族の相手を押し付けるようになったのです。その結果、我が一族の被害は増えて逃げ出す者も出始める始末。貴女のご両親も長でありながら、一族を捨て、力が目覚めていなかった貴女だけを連れ別世界へ行ってしまったのです」
「この世界に残された光輝様は、両親と他の一族を恨み、どの国にも属さないこの街を僅か十になるかならないかの年でつくりあげました。街の皆もそんな光輝様を慕っております」
「・・・ところで風の国のことはご存知ですか」
「ええ。光輝様から聞いています。花音様の身を案じておられましたから」
「それで聞きたいんですけど、何か方法はありませんか?その国に残してきた人達を助けたいんです」
花音が訴えるように聞くと、老夫婦は困ったように顔を見合わせた。