光の少女Ⅰ【覚醒編】
「陰の一族って、敵じゃ・・・」
「向こうに裏切り者がいたそうです。まぁ、此方に宝珠を渡したことで、すぐに処断されたらしいですが。・・・でも、此方としたらその者のおかげで勝てたのでしょうけど」
そこまで言った時、家のドアが叩かれる。
それに老女の方が応対し、すぐに戻ってくる。
「花音様、どうやら迎えが来たようですよ」
「迎え?」
「はい。いつの間にか結構時間が経っていたようで、心配して、探していたそうですよ」
そう言われて窓の外を見ると、既に暗くなっていた。
「大変!帰らなきゃ!」
光輝に散歩に行くとしか言っていなかった為、慌てて立ち上がる。
老夫婦に挨拶して家を出ると、不機嫌そうな夜天が壁に寄り掛かっていた。
「や、夜天くん?」
「・・・遅いから迎えに来た」
そう言い、眠そうに目を擦る。
「一眠りしていたら、光輝と風夜に叩き起こされてな」
「それって、私がなかなか帰らなかったから?」
「まぁ、散歩にしては長かったからな」
「・・・ごめんね」
「いや、それより夕食の準備が出来たみたいだから、早く帰ろう」
夜天がそう言い、歩き出す。
花音は見送りに来た老夫婦に頭を下げると、先を行く夜天を追い掛けた。