光の少女Ⅰ【覚醒編】
「光輝・・・」

「奴等との戦いで一族はだいぶ人数が減ってしまった。俺はこの一族の長として、これ以上一族に被害を出す訳にはいかない。それに奴等は俺達が今回のことに関わらないなら、この街には手を出さないと約束してくれた。だから、宝珠の場所を教えることも出来ない」

「待って!この一族に手を出さないって、誰が言ってたの?光輝、誰に会ったの?」

「陰の一族の奴だ。確か聖っていう女だった」

(聖ちゃんが!?)


出てきた名に目を見開く。

まさかもう手が回っているとは思わなかった。


「それともう一つ・・・」

「えっ!?」

「姉上も今回のことに関わらないでくれ」

「!?」

「姉上も今は光の一族の一人なんだ。だから」

「私が関わっていたら、聖ちゃんとの約束を破ることになるってこと?」

「ああ。姉上も俺と同じ立場だ。この一族を守る義務が・・・」

「そんなの知らない!」

「姉上!」


花音は叫ぶように言って、執務室を飛び出した。

今の光輝に自分の声は届かない。

それが悲しかった。
< 91 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop