光の少女Ⅰ【覚醒編】
「なっ!?」
「来ると思っていたわ。久しぶりですね、花音様」
「聖ちゃん!?」
陰に捕まった状態で花音はクスクスと笑う聖を見る。
「どうして、聖ちゃんが此処に?」
「貴女のことだから、宝珠を探しに来ると思ってたの。それに此処には風夜様達は入ってこられない」
聖が言いながら近付いてくる。
「他の光の一族は私達の邪魔はしないと言ってくれた。貴女もそうするなら、見逃してあげるけど」
「私は・・・」
花音はそう呟いて俯く。
脳裏には陰の一族に襲撃された風の国、そこに残してきた風華や空夜の顔が浮かんで消えていった。
「私は風華ちゃん達を見捨てることは出来ないよ。私に何が出来るかはわからないけど、私は皆を助けたい!」
「・・・そう。なら、やっぱり此処で消えてもらうわ!邪魔が入らないうちにね!」
「っ!」
聖の声と共に花音の身体を捕えていた陰が首へと伸び、締め付けてくる。
「うっ!」
「さあ、死にたくなければ邪魔をしないと誓いなさい!」
花音は何とか逃れようと陰に手を伸ばし、掌に力を集中させようとしたが、その前に両手を拘束されてしまった。
(やばい。息が出来ない・・・!)
段々と花音の意識が薄れてくる。
(もう・・・駄目・・・)
「姉上!」
意識を飛ばしそうになった時、その声と共に光球が飛んできて花音の身体を捕えていた陰を一瞬で消し飛ばした。