光の少女Ⅰ【覚醒編】
「光・・・輝・・・?」
床に倒れそうになった花音は横から支えられる。
支えてくれた光輝は険しい表情で聖を見ていた。
「どうして、お前が此処にいる?此処は光の一族以外立ち入り禁止の場所だぞ」
「それはこの塔にある宝珠をこの子が手に入れるのを邪魔するためよ。宝珠を集められると色々困るの。それと、その子が私達の邪魔するなら、貴方達光の一族との約束も取り消すしかないわ」
「・・・」
「どうする?やはり貴方達も私達の邪魔をする?それとも、この場でその子を引き渡してくれる?」
「俺は一族の長として一族を守らなければならない。でも、お前達に姉上を渡す訳にもいかない。・・・ずっと、引き離されたあの日からまた会える日を待ってたんだ。だから、お前達が姉上に危害を加えるなら黙ってみているわけにはいかない!」
その言葉と同時に光輝から凄まじい力が放たれる。
それは聖が作り出した陰を全て消し飛ばし、聖の身体を吹っ飛ばして壁に叩き付けた。
「くっ、此処は退いてあげるわ。でも、覚えてなさい。貴女達が何処で何をしようと、私達には貴女達の行動は筒抜けなの。次はこうはいかないから」
聖はそう言って、姿を消す。
それを確認すると光輝が振り返った。
「姉上、大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫だよ」
「そうか。でも、まだちょっと動けないだろ?あいつらも心配していたし、一度帰ろう」
そう言った光輝に抱き上げられて、思わず顔を紅くする。
小さな頃と比べて力強い腕に抱かれ、改めて離れていた時間の長さと男女の差を感じた。