光の少女Ⅰ【覚醒編】


「う・・・ん?」

「大丈夫か?」

「風夜・・・?」


花音が目を覚ますと、すぐ傍の椅子に座っていた風夜が声を掛けてきた。


「光輝から聞いた。聖がいたらしいな」

「・・・うん」


風夜に言われ、花音は顔を俯かせた。

塔で待っていた聖によって危機に陥っていた時のことを思い出し、今になって身体が震え出す。

あの時、光輝が来てくれなかったら自分はどうなっていたのか、想像もしたくなかった。


「花音?」

「な、何でもないよ。それより光輝は?」

「ああ。あいつならお前を連れてきた後、また出掛けたぞ。やることがあるって言ってな」

「やること?」

「まぁ。何か決意したような目をしていたけどな。・・・とにかく、お前はもう少し休んでろ」

「う、うん」


花音が頷くのを確認して風夜が椅子から立ち上がる。


「俺は火焔や夜天と別室にいるから、何かあったら呼べよ」


風夜はそう言い部屋を後にして、花音は再び睡魔に誘われ目を閉じた。
< 95 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop