シンデレラに恋のカクテル・マジック
「サラダふうの冷製パスタを作ろうと思ってるんですけど」
「こういう暑い日には食が進みそうでいいな」

 菜々は永輝と一緒に彼の部屋に行って、キッチンを借りた。まずは細いカッペリーニを茹でて冷水にとって冷ましておき、ボウルにレモン汁と塩こしょう、エキストラ・バージン・オリーブオイルを加えて乳化させてドレッシングを作った。それからキュウリと黄色のパプリカを細く切り、スモークサーモンとイクラ、カッペリーニと一緒にドレッシングで合えれば出来上がりだ。

 菜々が大皿に盛りつけるのを、永輝が肩越しに覗き込んできた。

「うまそう」

 顔を上げるとすぐそばに永輝の顔があって、菜々の心臓が大きく跳ねる。

(また私ばっかりドキドキしてる……。永輝さんは私といてドキドキすることってあるのかな……やっぱりないよね)

 永輝の周囲にいるのは菜々よりも大人っぽい年上の女性ばかりだ。恋愛経験値だってきっと菜々とは雲泥の差だろう。

 菜々がそんなことを考えている間に、永輝が皿をテーブルに運んでくれた。

「飲み物はどうする? ペットボトルだけどアイスコーヒーとアイスティーがあるよ」
「じゃあ、アイスティーをお願いします」
「了解」
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