シンデレラに恋のカクテル・マジック
いよいよ菜々と永輝のフレア・ショーの幕開けだ。バーにいる全員で、フレア・ショーの開始を告げるカウント・ダウンを、永輝が腕を振り上げるタイミングに合わせて行う。
「スリー……ツー……ワン、ゴー!」
ゴーのかけ声と同時に永輝がオーディオのスイッチをオンにした。静かに、でもリズミカルに曲が流れ出す。ぎこちなく笑顔を作る菜々とは対照的に、永輝は余裕のある笑み――しかも魅惑的な笑み――を浮かべている。それは菜々だけに向けられたものではないけれど、その笑みに引き込まれ、菜々は彼と二人だけのフレアの世界に墜ちていく。
(永輝さんと一緒なら大丈夫!)
本番のつもりでボトルを操りティンを跳ばして練習の成果を発揮する。ボトルが指先に引っかかりそうになったり、汗をかいた手のひらでティンが滑りそうになったり……。それでも必死でパフォーマンスを続けた。
曲のエンディングとともに、バーカウンターの上の六個のカクテルグラスが美しい色で満たされると、店内は拍手でいっぱいになった。
「菜々ちゃん、かっこよかったよー」
カウンター席の大樹が興奮した表情で大きく手を叩いている。
「ありがとうございます」
菜々は永輝とともにお辞儀をした。顔を上げて、頬を紅潮させたままの彼と視線を合わせる。
「スリー……ツー……ワン、ゴー!」
ゴーのかけ声と同時に永輝がオーディオのスイッチをオンにした。静かに、でもリズミカルに曲が流れ出す。ぎこちなく笑顔を作る菜々とは対照的に、永輝は余裕のある笑み――しかも魅惑的な笑み――を浮かべている。それは菜々だけに向けられたものではないけれど、その笑みに引き込まれ、菜々は彼と二人だけのフレアの世界に墜ちていく。
(永輝さんと一緒なら大丈夫!)
本番のつもりでボトルを操りティンを跳ばして練習の成果を発揮する。ボトルが指先に引っかかりそうになったり、汗をかいた手のひらでティンが滑りそうになったり……。それでも必死でパフォーマンスを続けた。
曲のエンディングとともに、バーカウンターの上の六個のカクテルグラスが美しい色で満たされると、店内は拍手でいっぱいになった。
「菜々ちゃん、かっこよかったよー」
カウンター席の大樹が興奮した表情で大きく手を叩いている。
「ありがとうございます」
菜々は永輝とともにお辞儀をした。顔を上げて、頬を紅潮させたままの彼と視線を合わせる。