シンデレラに恋のカクテル・マジック
「〝閑静な住宅街にあるおしゃれなバー、サンドリヨン。オーナー・バーテンダーの深森永輝さんのフレア・ショーが毎夜十時から楽しめます。サマー・フェスタではアルバイトの斎城菜々さんとタンデム・フレアを披露してくれました。サンドリヨンは魅惑のフレアとカクテルで貴女に特別な魔法をかけてくれます。ただし、営業時間はオーナーの気分次第なのでご注意を。〟だって」

 菜々が記事を読み上げた。サイトではパフォーマンス中の写真とともに、最後に撮られた永輝と菜々が並んで立っている写真も掲載されている。

「こんな書き方したら、女性客ばっかりが来そうじゃない……」

 菜々が不満げに言うと、永輝が菜々の腰に手を回して引き寄せた。

「それより、この二人、美男美女で似合いのカップルだと思わない?」
「え、そ、そうですか?」

 菜々は写真をじっくりと見た。永輝の方は確かに美男だが、隣に並ぶ菜々はごくごく平凡な顔とスタイルだ。お世辞にも美男美女の組み合わせとは言いがたい。

 チラリと永輝を見ると、彼が目元をほころばせた。

「そうだよ。どうしようもなく愛しくてかわいく思えるんだから」

 菜々は照れて頬を染めながら言う。
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