シンデレラに恋のカクテル・マジック
「あなたのことですよ、菜々様。菜々様はくずはホールディングス代表取締役の葛葉(くずは)良介(りょうすけ)社長の孫なのです」
「はい?」
(葛葉良介……?)
菜々は首をひねった。
父、斎城圭一(けいいち)の両親は圭一が若い頃に他界したと聞いている。ということは、母、佐百合(さゆり)の父が葛葉良介ということなのだろうか?
「でも、母から旧姓は北川(きたがわ)だったと聞いています」
一臣が端正な顔を悲しげにゆがめて言う。
「菜々様のお母様の佐百合様は、葛葉社長に結婚を反対されて駆け落ちされたため、葛葉ではなく佐百合様のお母様の旧姓を菜々さんに教えられたのでしょう」
「お母さんのお母さんの旧姓……」
母が亡き今、それを今すぐ確認することはできない。それでも、相手がくずはホールディングスという大企業の取締役経理部長という地位のある人間なのだから、その言葉を信じるべきなのだろうか。
菜々がどう答えようか迷って黙っていると、永輝が菜々の右手をギュッと握って、一臣に言う。
「はい?」
(葛葉良介……?)
菜々は首をひねった。
父、斎城圭一(けいいち)の両親は圭一が若い頃に他界したと聞いている。ということは、母、佐百合(さゆり)の父が葛葉良介ということなのだろうか?
「でも、母から旧姓は北川(きたがわ)だったと聞いています」
一臣が端正な顔を悲しげにゆがめて言う。
「菜々様のお母様の佐百合様は、葛葉社長に結婚を反対されて駆け落ちされたため、葛葉ではなく佐百合様のお母様の旧姓を菜々さんに教えられたのでしょう」
「お母さんのお母さんの旧姓……」
母が亡き今、それを今すぐ確認することはできない。それでも、相手がくずはホールディングスという大企業の取締役経理部長という地位のある人間なのだから、その言葉を信じるべきなのだろうか。
菜々がどう答えようか迷って黙っていると、永輝が菜々の右手をギュッと握って、一臣に言う。