シンデレラに恋のカクテル・マジック
第九章 祖父の城
翌朝四時半、菜々は携帯電話のアラーム音で目を覚ました。永輝を起こさないようにすばやく止めたが、彼は目をこすりながら起き上がった。
「見送りに行くよ」
昨晩、永輝は菜々の気持ちを気遣って添い寝をしてくれただけだが、ベッドに入ったのは午前一時だから、彼も相当眠いはずだ。
「朝早いし、一人で行きます」
菜々は気遣ってそう言ったが、永輝は首を振る。
「まだ電車は走ってないだろ。車で送ってく」
「永輝さんの負担になりたくないから、タクシーを呼ぼうと思ってたのに……」
永輝がベッドから下りて、パジャマの上を脱ぎながら菜々を見た。
「負担だなんて思っちゃいない。それより、どうしても気になるんだ」
「何がですか?」
「あの和倉一臣って男」
永輝の言葉を聞いて、菜々は首を傾げた。
「どうしてですか? 祖父に頼まれて――というか、命じられてって言ってましたけど――わざわざ東京から来てくれたんですよ? それに、誠実そうに見えましたけど」
「なんかうさんくさい」
永輝の口調が不満そうで、菜々は思わず笑みをこぼした。大樹が聞いたら〝独占欲丸出し〟とでも言って笑いそうだ。
「見送りに行くよ」
昨晩、永輝は菜々の気持ちを気遣って添い寝をしてくれただけだが、ベッドに入ったのは午前一時だから、彼も相当眠いはずだ。
「朝早いし、一人で行きます」
菜々は気遣ってそう言ったが、永輝は首を振る。
「まだ電車は走ってないだろ。車で送ってく」
「永輝さんの負担になりたくないから、タクシーを呼ぼうと思ってたのに……」
永輝がベッドから下りて、パジャマの上を脱ぎながら菜々を見た。
「負担だなんて思っちゃいない。それより、どうしても気になるんだ」
「何がですか?」
「あの和倉一臣って男」
永輝の言葉を聞いて、菜々は首を傾げた。
「どうしてですか? 祖父に頼まれて――というか、命じられてって言ってましたけど――わざわざ東京から来てくれたんですよ? それに、誠実そうに見えましたけど」
「なんかうさんくさい」
永輝の口調が不満そうで、菜々は思わず笑みをこぼした。大樹が聞いたら〝独占欲丸出し〟とでも言って笑いそうだ。