シンデレラに恋のカクテル・マジック
「失礼いたします」
吉村が言って扉を開けて支えてくれたので、菜々は一臣に続いて部屋に足を踏み入れた。そこはクリーム色の壁紙が明るい広い洋室で、上質の深緑色のカーテンが掛かった大きな窓を背にして、重厚なデスクの向こうに一人の男性が座っている。髪はすっかり白くなっているが、目には強い光が宿っている。
(この人が私のおじい様? 意外と元気そう?)
菜々は怪訝に思った。だが、外見は健康そうでも内臓の病気など、見た目からはわからない場合もある。
「あの、初めまして。斎城菜々と申します」
菜々はドアのそばで頭を下げた。
「菜々か。ようやく会えたな。さあ、こちらに来なさい」
手招きされて、菜々はデスクの前に近づいた。良介が立ち上がって、ゆっくりと菜々に歩み寄る。背は一臣ほど高くはないものの、恰幅の良さと、地位や財産に裏打ちされた自信が醸し出す堂々とした態度が、気難しそうな口元と相まって威圧感を与えている。
菜々はキュッと胃が縮むような緊張感を覚えたが、表情がこわばらないよう必死で微笑んだ。そんな菜々を良介が目を細めて見る。
「佐百合にもらった写真では赤ん坊だったが……さすがに大きくなったな」
吉村が言って扉を開けて支えてくれたので、菜々は一臣に続いて部屋に足を踏み入れた。そこはクリーム色の壁紙が明るい広い洋室で、上質の深緑色のカーテンが掛かった大きな窓を背にして、重厚なデスクの向こうに一人の男性が座っている。髪はすっかり白くなっているが、目には強い光が宿っている。
(この人が私のおじい様? 意外と元気そう?)
菜々は怪訝に思った。だが、外見は健康そうでも内臓の病気など、見た目からはわからない場合もある。
「あの、初めまして。斎城菜々と申します」
菜々はドアのそばで頭を下げた。
「菜々か。ようやく会えたな。さあ、こちらに来なさい」
手招きされて、菜々はデスクの前に近づいた。良介が立ち上がって、ゆっくりと菜々に歩み寄る。背は一臣ほど高くはないものの、恰幅の良さと、地位や財産に裏打ちされた自信が醸し出す堂々とした態度が、気難しそうな口元と相まって威圧感を与えている。
菜々はキュッと胃が縮むような緊張感を覚えたが、表情がこわばらないよう必死で微笑んだ。そんな菜々を良介が目を細めて見る。
「佐百合にもらった写真では赤ん坊だったが……さすがに大きくなったな」