シンデレラに恋のカクテル・マジック
 一臣にエスコートされて自動ドアから中に入ると、KH+のスタイリッシュなスーツに身を包んだ店員がにっこり微笑んだ。

「いらっしゃいませ。和倉様と斎城様ですね。伺っております」
「彼女に、社長との昼食会にふさわしい衣装を選んでほしい」
「かしこまりました」

 店員は笑顔のまま菜々を店の奥へと案内する。

「何点かお持ちいたしますね」

 そう言ってまもなく店員が持って来たのは、ウエストにドレープを効かせたネイビーのワンピースだ。

「エレガントな印象だね」

 一臣が言うので、菜々は試着してみることにした。恐ろしくて値札は見られない。ドキドキしながら袖を通したそのワンピースは、サテンのような光沢があり、ストレッチが効いていて着心地は快適だ。

「どうですか?」

 フィッティングルームから出てきた菜々を見て、一臣が首をひねる。

「ちょっと華やかさが足りないな」
「それではこちらはいかがでしょう」

 店員が別のワンピースを手にとって見せた。そのワンピースはパールがかった上品な光沢のあるブラックで、クラシカルなデザインながら、ウエストマークのリボンとスカート部分のボリューム感が華やかさをプラスしている。
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