シンデレラに恋のカクテル・マジック
一臣の口調や態度から、祖父は部下に慕われる上司なのだと思っていたが、仕事上では優れた上司でも私生活では良き祖父ではないのかもしれない。
菜々は無言で駐車場へと向かった。
「こちら、お返しいたします」
運転手が携帯電話を差し出したので、菜々は受け取ってバッグに収めた。そうして運転手が開けてくれたドアから中に入ったが、いちいち他人に開けられたドアから入ることにも、うんざりしてきた。
(もう帰りたい)
「どこに行きましょうか?」
一臣に問われて不機嫌な声で答える。
「大阪」
一臣が笑みを浮かべてさらりとかわす。
「定番中の定番、スカイツリーに行きますか?」
(スルーされた)
菜々は小さく唇を尖らせた。
正直に言えば一人になりたかったが、今すぐそれは無理そうなので諦めてぼそりと言う。
「人混みはイヤです」
「それなら車窓から見学、ということにしましょうか」
一臣の指示で車が墨田区を目指してゆっくりと走り出した。
「菜々さんがお怒りになるのもわかります。でも、夕食を食べていってあげても構わないでしょう?」
菜々は無言で駐車場へと向かった。
「こちら、お返しいたします」
運転手が携帯電話を差し出したので、菜々は受け取ってバッグに収めた。そうして運転手が開けてくれたドアから中に入ったが、いちいち他人に開けられたドアから入ることにも、うんざりしてきた。
(もう帰りたい)
「どこに行きましょうか?」
一臣に問われて不機嫌な声で答える。
「大阪」
一臣が笑みを浮かべてさらりとかわす。
「定番中の定番、スカイツリーに行きますか?」
(スルーされた)
菜々は小さく唇を尖らせた。
正直に言えば一人になりたかったが、今すぐそれは無理そうなので諦めてぼそりと言う。
「人混みはイヤです」
「それなら車窓から見学、ということにしましょうか」
一臣の指示で車が墨田区を目指してゆっくりと走り出した。
「菜々さんがお怒りになるのもわかります。でも、夕食を食べていってあげても構わないでしょう?」