シンデレラに恋のカクテル・マジック
家庭教師の穴埋めのアルバイト先が見つかって、菜々は心底ホッとした。
「それから、履歴書まではいらないけど、何かあったときのために連絡先を教えてくれる? 携帯電話の番号とか……実家の電話番号とか」
永輝に言われて、菜々はまた悲しい思い出に囚われて表情を曇らせたが、すぐに笑顔を作った。
「じゃあ、私の携帯番号でいいですか? アパートには電話がないし、実家の電話には誰も出ないんで」
永輝は一度瞬きをしたが、深く詮索することなく言う。
「わかった。じゃあ、連絡を取りたいときは菜々ちゃんの携帯にかけるようにするよ」
「ありがとうございます」
菜々はホッと息を吐いた。バイト先が見つかったこと以上に、永輝が余計なことを訊こうとしないことにも安堵していた。きっと、永輝自身も何か人に聞かれたくない過去や想いがあるに違いない。
「そうと決まれば急いで食べないと。予備校の仕事に遅れるんじゃないか?」
永輝に言われて、菜々はあわてて壁の時計を見た。九時まであと十五分しかない。
「大変!」
「あわてて食べて喉に詰めるなよ」
永輝が笑いながら言った。
「それから、履歴書まではいらないけど、何かあったときのために連絡先を教えてくれる? 携帯電話の番号とか……実家の電話番号とか」
永輝に言われて、菜々はまた悲しい思い出に囚われて表情を曇らせたが、すぐに笑顔を作った。
「じゃあ、私の携帯番号でいいですか? アパートには電話がないし、実家の電話には誰も出ないんで」
永輝は一度瞬きをしたが、深く詮索することなく言う。
「わかった。じゃあ、連絡を取りたいときは菜々ちゃんの携帯にかけるようにするよ」
「ありがとうございます」
菜々はホッと息を吐いた。バイト先が見つかったこと以上に、永輝が余計なことを訊こうとしないことにも安堵していた。きっと、永輝自身も何か人に聞かれたくない過去や想いがあるに違いない。
「そうと決まれば急いで食べないと。予備校の仕事に遅れるんじゃないか?」
永輝に言われて、菜々はあわてて壁の時計を見た。九時まであと十五分しかない。
「大変!」
「あわてて食べて喉に詰めるなよ」
永輝が笑いながら言った。