シンデレラに恋のカクテル・マジック
菜々はゴクリと唾を飲み込むと、思い切ってそのバーのドアノブに手をかけた。引いて開けたとたん、テンポのいい音楽が漏れてくる。そして、淡い照明とともに目に飛び込んできたのは、バーカウンターの向こうでボトルを放り上げているバーテンダーの姿。
(え?)
菜々は驚いて反射的にドアを閉めていた。
(何、あの人。バーテンダーの格好をしてたよね? なんでボトルを投げてるの? ケンカ? いや、それより飲み物を粗末にするなんてっ)
ここは一つ、食料自給率の低い国の国民として一言注意してやらねば。
菜々はドアノブを握る手に力を入れたが、思い直してノブから手を離した。
(やっぱやめよう。私、この店、初めてだし。関わり合いにならない方がいいよね)
菜々が再び駅に向かって歩き始めたとき、背後でドアの開く音がした。
「入らないの?」
耳に心地良い低音で話しかけられ、思わず振り向くと、さっきボトルを投げていたバーテンダーがドアの前に立っていた。額の上で長めの前髪が乱れ、興奮気味に頬を上気させているが、甘く整った顔立ちの男性だ。
(わあ、イケメン……って、違うから!)
(え?)
菜々は驚いて反射的にドアを閉めていた。
(何、あの人。バーテンダーの格好をしてたよね? なんでボトルを投げてるの? ケンカ? いや、それより飲み物を粗末にするなんてっ)
ここは一つ、食料自給率の低い国の国民として一言注意してやらねば。
菜々はドアノブを握る手に力を入れたが、思い直してノブから手を離した。
(やっぱやめよう。私、この店、初めてだし。関わり合いにならない方がいいよね)
菜々が再び駅に向かって歩き始めたとき、背後でドアの開く音がした。
「入らないの?」
耳に心地良い低音で話しかけられ、思わず振り向くと、さっきボトルを投げていたバーテンダーがドアの前に立っていた。額の上で長めの前髪が乱れ、興奮気味に頬を上気させているが、甘く整った顔立ちの男性だ。
(わあ、イケメン……って、違うから!)