シンデレラに恋のカクテル・マジック
「永輝さん、また来ちゃいました」

 ワンピースの女性がカウンター席に座りながら柔らかな声で言った。

「ありがとう、嬉しいよ」

 永輝ににっこりされて女性がはにかんだ笑みを浮かべる。永輝目当てなのは一目瞭然だ。

「新しいアルバイトの子?」

 パンツスーツの女性が言った。

「菜々ちゃんって言うんだ。週に三日来てくれる」

 永輝に紹介されて、菜々は緊張しながらもぺこりと頭を下げた。

「よろしくお願いします」
「もうバイトの子に手を出しちゃダメですよ~。また辞められちゃいますよ」

 ワンピースの女性が笑いながら言ったが、その目は菜々をじっと見ている。

(ひえ~、密かに牽制されてる?)

 菜々がそんなことを思っていると、永輝が胸の前で両手を挙げておどけて言う。

「菜々ちゃんには手を出さないって約束させられたんだ。だから、これからはお客様とバイトの子には手を出しません」
「えー、私になら手を出してくれてもいいのにぃ」

 冗談か本気かわからない口調でワンピースの女性が言った。

「そんなことをしたらたくさんの男の恨みを買いそうだ」
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